印刷業界、そして大洞印刷の未来
![]() ![]() 専務取締役
大洞広和 |
![]() ![]() 生産管理部 課長
加藤 研 |
![]() ![]() 経営企画部 課長
福島正人 |
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印刷業界ってバブル期には8兆くらいの産業だったんだよね。それが今は6兆円を切ってて、業界団体の調査予測では7年後には4兆円くらいにまでなるだろうって話。今の2/3にくらいになるというのは、確かに厳しい状況だよね。
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市場規模が全体的に縮小して、どこも苦しくなっていくだろうなとは思うのですが、でも、その中でも必ず伸びている分野ってありますよね。例えば、同人誌とか。うちにも同人誌に詳しい人間がいるので、そこは攻めたいですよね。
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僕は印刷業に携わってまだ1年半くらいなので、そこまで詳しいことは分からないですけど、ただ、ずっと同じことをやっている会社は、生き残っていけないだろうなという印象です。それは当然、印刷業界にも言えること。だから、市場のニーズをとらえて、それにどう対応していくか。特に紙媒体の需要が減っていたり、どんどんWEB化が進んでいる部分もあるので、他社の動向も含め、まわりの状況をみながら、どういう戦略でうちの特長を打ち出していくかが大事な時期。変革期じゃないけど、そういう時期にあると思います。
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不況って一言で言っても、僕の考えでは決して不況じゃないんだよね。不況と感じている人が多いだけで、そう感じていない人たちも世の中にはいっぱいいる。ただ、その中で言えるのは、大量生産でモノを作って売るというビジネスモデルが崩れてきているということ。これは日本全体にも、印刷業界にも言えること。でも、そういう昔の仕事のやり方から飛び出して、これまでとは異なる生産方式を採用したり、異なるサービスを提供し始めているところ、どんどん変わっていこうというスタンスの会社は伸びているというのも事実なんだよね。
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どこの業界にも必ず伸びている分野っていうのがあって、同人誌もそうですが、何かを入れる箱とかビール瓶のラベルとか、それ自体が商品の一部と化しているものは無くならない。実際、パッケージとかラベルの分野は印刷業界では堅調な数字を出していますよね。
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そういういくつかの勝てる分野、伸ばせる分野は当然あるよね。だから、印刷業界の枠を広げて、WEBやインターネットを使ったサービスという部分まで含めて考えれば、やれることはもっともっとあると思う。その中で、僕らが一番力を発揮できることに、どれだけ力を注げるかが課題だね。うちの会社では、情報収集力とその情報をアウトプットする力がすごく必要。『あそこでこんなことやっていた』『こんなものがあるよ』など、そういう情報をリアルタイムに発信することはすごく大切。だから、それを実現するために社内SNSの運用を開始したんだ。
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本当にこういう情報は大切ですよね。より多くの情報が集まることで、可能性の幅も広がりますからね。しかも鮮度が高ければ高い程、スピーディーに対策がたてれますしね。ただ、僕がみんなからの情報を生かし切れていな部分もあるので、今以上にスピードをあげて、形にしていく、それが僕のやるべきことだって思ってます。
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今までは情報を形に落とし込むという部分が、色々な面で不足していたんだよね。ようやくそれができる環境ができてきた。福島課長にはぜひそこを先頭に立ってやっていってもらいたいんだよね。
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ええ。これからは、周りや他社に負けないように、というよりも大洞印刷が第一人者となれるように、いかにスピーディーに進めるかですね!僕は営業サイドで、そして加藤課長は製造サイドでという形で、協力してやっていかないといけないですね。
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2012年の4月に作った経営企画と生産管理の部署も、大洞印刷が中長期目標として掲げている「5年後に業績を今の2倍にする」というのも、そもそも言い出したのは福島課長と加藤課長だからね。社長や僕じゃない。
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はい、そうです(笑)
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最初は、もっと給料が上がらないかな、なんて軽く話していたのですが、じゃ、それを本気で実現させるにはどうしたらいいだろうって、福島課長といろいろ考えて。専務も社長も、僕らがやりたいということに対して、的外れなことはノーって言いますけど、やりたい想いが伝わると、『やってみれば』『できる限りバックアップする』と言ってくれますからね。これでちょっと面白いことができるかなと思っています。
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その代わり、こちらを本気にさせといて、途中で「もう、や~めた!」だけは、やめろよ(笑)
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もちろん(笑)
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給料がすべてではないけど、そういう目標とか野望は具体的にあった方がいいし、僕らもみんなに、いい生活をしてもらいたいと思っているからね。もちろん、豊かな生活というのはお金だけじゃないけど、業界でNo.1の給料を払っている会社、業界で一番休みが多い会社にはなりたいと思っている。福利厚生や環境、他にもいろんな要素はあるけど、まずは業界で、日本で、一番幸せな会社を創っていきたい。どこまで近づけるか分からないけれども。そして、その第1番目の指標が給料ということなのだろうなと。
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僕も、給料は最終的な評価、結果だと思うのですが、それ以上に、自分の中で何かしら目標がないとモチベーションが上がりません。しかも、人から設定された目標じゃダメですね(笑)
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確かに。“人にやらされている”感じというのが、すごくイヤ(笑)。僕が入社した時は営業で通販担当だったのですが、正直やりたくないと思っていて(笑)、今の生産管理がもともとやりたかった仕事でした。入社してから生産管理を誰がやっているのかと思ったら、なんと専務だった。僕は楽しく仕事をしたい、やりたい仕事をしたいとずっと思っていたので、通販を担当しながら徐々に生産管理の仕事を専務から自分に取り込んで…
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それでいつの間にか、なくなった(笑)
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“やらされている”じゃなくて、生産管理の仕事は、自分がやりたいから取りに行って、仕事ぶりを認めてもらえたから少しずつでもやらせてもらえたわけで…。
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で、勝手に部署にまでしちゃったと(笑)
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すみません!
でもやっぱり、こういうことができる会社って面白いと思います。
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“イヤ”とか“やりたくない”の裏には、必ず“やりたい”があるはず。そこが大事。やりたくないのであれば、やることを変えるか辞めるかしかない。簡単な話だけど、みんな変えようとは思っていないからね。だから、うちの経営理念は「チェンジ」。変わりたいと思う、変わることを恐れないということが大事だからね。
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5年後には売上規模を倍にするって話だけど、経営企画は具体的に何をするつもり?
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いろんな可能性、方向性があると思いますが、例えば、うちの会社にはクリアファイルという特徴的な商品があるので、まずはそれを全国で1番にします。
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それはもう、既定路線だね。
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いつ決まった?
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今です!(一同笑い)
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じゃ、生産管理は何をする?
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僕は利幅を増やします。一番に取り組みたいのは、より生産性の高い、ワークフローの構築です。例えば1つの製品を作る時間が今の半分になれば、利益は大きくなりますし、お客様にもよりお値打ちにご提供することが可能になってきます。そして、それを実現するためには、社内の無駄を減らさないといけない。人が介在する必要のない所はシステム等による自動化を図ったり、逆に考えたりする部分に人の力をつぎ込めるようなそんな体制にしたいと思っています。ただ、僕はシステムとかはあまり詳しくないので、その辺りを福島課長と協力しながらやっていきたいなと。
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売上は2倍だけど、人は1.5倍というのはそれだね。人がやる必要のないところは機械に任せて、人間が力を発揮すべきところに注力していく。新しい機械を入れて、時間の短縮や効率が上がることで、人間に考える時間を与える。人を活かすために機械を入れるということは大事だと思うよ。考えることは人間にしかできないから、人の力って大事だね。僕はそこから新しいものを生み出していくことで、業績を伸ばしていきたいと思っている。世の中の不景気感も多少は感じるけれど、僕自身は悲観的には見ていないし、むしろ前向きに考えているよ。
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それからもう1つ。我々は多くの協力会社さんに支えられて、様々な活動ができています。今はまだ単なる発注先と仕入先といった関係かもしれません。でも、その関係をより密にしていって、パートナーと言えるようにしたいと考えています。既に、この5年プランを協力会社さんにも話していて、多くの所が賛同してくれています。期待に応えなきゃいけないですね。
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自分たちだけではなくて、周りも全部巻き込んでやっていくってことだね。それはそれで、生産量を増加させたりしなきゃいけないし、責任も大きいな。でもそれができたら、本当に強い会社になっていけるんじゃないかなって思うよ。