
問われる存在意義
物余りの時代となった今、消費者は物を手に入れることではなく、それによって得られる体験、心の豊かさを求めるようになりました。また、例を見ない自然災害の発生や、新型コロナウイルス感染症による健康や生活の危機を体験したことで、従来の消費活動の見直しがさらに加速しています。特にコロナ禍では、経済を回すことと、感染リスクを徹底的に抑え人の命を守ることとどちらが大切なのかと、多くの議論が交わされました。その中で、目先の利益ではなく、社会のために立ち上がった企業の活動や、雇用を守ろうとする経営者の姿勢などに注目が集まり、さらにはそんな企業や失っては困る店舗を応援するための消費行動が増加したのです。
新たな生活が始まり、消費者が本当に自分に必要なものを見極めるようになりました。そして、商品やサービスを提供する企業側に、その存在意義とはいったい何なのか、役割や責任がより一層問われる時代がやってきています。数年前から、人や社会、環境に良いものを選ぶエシカル消費や、個人が所有して終わりではなく、共有し無駄を省くシェアリングエコノミーといった新たな仕組みが注目されていましたが、今後はそのような傾向はさらに強まっていくと考えられているのです。
これらの流れと関連するのが、SDGsの中でも特徴的な目標だといわれている「目標12 つくる責任つかう責任」です。今回は、この目標に関連した取り組みの深掘りを進めていきます。
SDGs目標12 つくる責任つかう責任とは?
この目標は「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的にしています。少ない資源で、より多くの良質なものを得られるような生産と消費のパターンを生み出すことが求められています。
この目標が設定された背景には、世界人口の増大が関係しています。国連広報センターによると、世界の人口は増え続けており、2050年には100億人に迫ると予測されています。さらに、それだけの人々が現在と同じような生活をした場合、その生活の維持には、地球約3つ分の資源が必要だと考えられています。地球から得られる資源やエネルギーには限りがあり、このまま今のような大量生産・大量消費のスタイルを維持していては、地球の資源が枯渇し、環境に取り返しのつかないダメージを与えてしまうのです。そのため、より少ない資源で生産性を上げて、良いものを作りつつ、さらには廃棄自体も減らす社会構造を作っていこうと、この目標が設定されました。

例えば、天然資源を適切に使うことや、廃棄物を減らしリサイクルできるようにすること、さらには、製品単体で考えるのではなく、生産から使用者に渡り、廃棄されるまでの一連の流れを強く意識することが含まれています。「経済」・「社会」・「環境」の三側面を統合的に捉え、取り組みを波及させていくことが求められているのです。
現状は?
国連広報センターが公表しているSDGs報告2020によると、世界的にマテリアルフットプリント(天然資源の消費量)は、年々増加しており、未だ持続不可能な形での資源活用が継続されているそうです。特にインフラの整備や増設に関連する消費が顕著とされており、原材料ではなくリサイクルされたものを使用するなど、循環経済を実現するための行動が必要とされています。そして。新型コロナウイルス感染症で受けた打撃からの復興には、そんな循環経済をはじめ、世界中でより持続可能な未来に向けた復興計画策定の動きが出てきています。
日本でも「SDGsアクションプラン2021」の重点事項に、「Ⅱ.よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略」と「Ⅲ.SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出」が含まれており、今後はますます、Afterコロナを見据えた、持続可能なビジネスの在り方を追求した取り組みが求められていくと考えられます。








