破壊された日常 ニューノーマルを模索した2020年
2020年は、新型コロナウイルス感染症により、世界中で今までの当たり前・日常が破壊された年となりました。日本国内では、開催目前と迫った待望の東京オリンピック・パラリンピックが、2020年3月24日に延期が決定。その後、爆発的な感染拡大を防ぐため、4月7日に、安倍前総理大臣が、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を行い、4月16日には全国へと拡大しました。5月25日に一度は緊急事態宣言が解除されましたが、今なお、脅威は去らず、ウイルスとの共生を模索する日々が続いています。
引用データ元:厚生労働省オープンデータよりグラフ化
(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html)
2020年の流行語ノミネートワードを見ても、新型コロナウイルス感染症に関連した言葉が多く、「おうち時間/ステイホーム」や「3密(三つの密)」「Zoom映え」「オンライン◯◯」といった言葉に表れているように、安全を確保しながらの新たな生活スタイルが始まりました。
特に密を避けるため、2月頃から多くの企業でテレワークへの取り組みが始まりました。また、消費行動もECショップ利用や内食が拡大し、旅行やライブといったものも軒並みオンライン化が進みました。各方面で半強制的にデジタル化が進んだことで見えてきたことは、デジタルによってもたらされるメリットと、デジタルだけでは成り立たないリアルの価値です。
変わる価値観
例えば、展示会は、コロナ禍で軒並み中止となりました。印刷業界でも、世界最大の印刷機材展示会「drupa2020」の延期が2020年3月に発表されました(12月には中止が決定しました)。従来、展示会といえば見込客を獲得したり、認知を得るための手段として重要な役割を担っていました。しかし、その展示会に対する価値観が変わろうとしています。
前述した「drupa2020」では、3月の延期発表後に、その出展を取り止める企業が増加しました。例えば、弊社でも導入している世界最大のオフセット印刷機メーカーのハイデルベルグ社が出展の取り止めを発表し、大きな話題となりました。単純に、安全の確保や今後の予測が難しいという側面もありますが、バーチャル展示会など、オンラインでの活動が活発になったことで、リアルの展示会の価値を見直すきっかけとなったのです。
実際に、ハイデルベルグ社のライナー・フンツドルファーCEOはこのように述べています。
「我々は成長する市場地域でのイベントだけではなく、より緊密に、そして個別にみなさんとのコミュニケーションを確保するために、新しいバーチャルな展示会のコンセプトにいっそうの投資をしていく。これは、我々が印刷市場からの期待に一貫して対応していけることを意味する。」
(引用元:日本印刷新聞社 2020.07.08の記事より http://nichiin.co.jp/archives/39433/)
そして、秋にはハイデルベルグ社主催のオンラインイベントが開催されました。
出典:ハイデルベルグ イノベーションウィーク2020スペシャルサイトより (https://innovationweek.heidelberg.com/ja)
オンラインであれば、地域の制限を受けることなく、自社工場からのライブ中継で、印刷機やそのデモンストレーションなどの情報を、本当に必要としている顧客へ提供できます。そして、その後のコミュニケーション強化にも繋がるのではないかというのが新たなビジネスの在り方です。では、リアルの場の価値はどこにあるのでしょうか?
例えば、アパレル業界の店舗は、ただ商品を売る場所ではなく、ショールーミング化(※1)やウェブルーミング化(※2)が進んでいます。また、小売業界では、コロナ禍での安全な購買体験を提供し、新たな売上の仕組みを作るため、BOPIS(※3)にも注目が集まっています。いずれも、オンラインもオフラインも関係なく、今までの役割や価値が見直され、再構築されようとしているのです。
※1.ショールーミング:商品購入の際に実店舗に訪れて現物を確かめ、その店舗では買わずにオンラインショップで購入すること。
※2.ウェブルーミング:消費者が事前に商品の情報をウェブで検索して価格やレビューを調べた後に、実際の店舗に訪問して商品を最 終確認し、店頭で購入するという一連の購買行動のこと。
※3.BOPIS:”Buy Online, Pick Up in Store”の略語。オンラインで購入したものを店頭で受け取る仕組みのこと。
2021年のキーワードは”繋がり”
先行きの見通せない不安から2021年の消費は冷え込むと言われています。では、消費者が消費するモノとはいったい何なのでしょうか? コロナ禍で売れたモノは生活必需品です。一方で、生活には絶対必要でないモノも購入されています。
「応援消費」という言葉があるように、2020年は人との接触が制限された一方で、飲食店の窮地をどうにかしたいと、全国から注文が殺到したり、応援チケットが購入されたりしました。水族館など、存続の危機に陥った施設は、クラウドファンデイングを募り、多くのファンからの支援を得ました。
消費者が求めるモノとは、自分にとって価値のあるモノです。そして、価値創造には、消費者との繋がり・コミュニケーションが重要になる時代がやってきます。正確には、消費者を中心とする考えがより加速し、転換できないビジネスは成り立たなくなり始めているのです。
新型コロナウイルス感染症の終息への見通しはついていません。そして、終息したとしても、一度破壊されたものは、元には戻りません。旅行などは、自粛により我慢が強いられた分、Go to トラベルをはじめ、規制が緩んだ瞬間に人々の動きが活発になりました。このように、一部では揺り戻しが起きると考えらますが、決して今までに戻ったと捉えるのではなく、来てくれた消費者とどのように繋がりを構築し、継続していけるのかという視点から再構築していく必要があります。
2021年は、どの業界もコロナにより破壊されたものを見直し、再構築して、新たな関係性を作る年になっていくのではないでしょうか? そんな中で、大洞印刷も皆さまとのより良いコミュニケーションを構築し、皆さまのビジネスの成功に向け、今後も努めてまいります。2021年も、大洞印刷を何卒よろしくお願いいたします。
顧客との繋がりを再構築するために何ができるのか?
新たな時代を見据えたビジネスを共に創造するため、当社ではweb面談も行っております。
まずは大洞印刷は何ができるのかお気軽にお問い合わせいただければと思います。下記より「web相談会希望」と記入してお申し込みください。
