関連課題と取り組み事例
脱炭素

関連ターゲット12.1
持続的な消費と生産に関する10年枠組みプログラム(10YFP(※))を実施し、先進国主導の下、開発途上国の開発状況や能力を勘案し、すべての国々が対策を講じる。
※10YFP:2012年のリオ+20で採択された、各国からの拠出金で設立された基金を通じて、二酸化炭素の排出を減らすライフスタイルと持続可能な消費と生産を実現する社会の仕組みを作ることを目指した計画。
世界は今、一斉に脱炭素化へと歩みを進めています。脱炭素とは、人が排出する二酸化炭素などの温室効果ガスを、森林などが吸収する量を超えないよう、排出量と吸収量のバランスがとれている状態を目指した活動です。一見、「SDGs目標13 気候変動に具体的な対策を」だけに関わるように感じられますが、大量生産・大量消費という在り方が、CO2排出量の増加に大きく関わっています。そして、現状のまま全く対策を行わなかった場合、2100年までに世界平均気温が今よりも最大で4.8度上昇すると言われています。これにより大きく被害を受けるのは未来の子どもたち、そして発展途上国の人々です。つまり、地球温暖化に直接関与してこなかった人たちに大きな影響を与えてしまうのです。これを防ぎ、未来に責任を持つためにも、脱炭素化へと取り組んでいく必要があるのです。
企業の取り組み事例
米国Apple社「サプライヤークリーンエネルギープログラム」
再生可能エネルギーの導入を積極的に進めるApple社が、2015年に立ち上げたものです。世界各地のサプライヤーに対しても、エネルギー効率の向上と、再生可能エネルギーを用いた電力源への転換を呼びかけ、その協力依頼だけでなく、運用相談や、技術の共同開発、資金援助も行っています。現在は、2030年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。
Apple社のバリューチェーンのうち、二酸化炭素排出量の最大の数値を占めるのは、製品の製造工程だと言われています。より取り組みを強化するため、2030年までに再生可能エネルギーの使用率が100%に達していないサプライヤーとは取り引きを停止するともしています。今後このような企業が増えることからも脱炭素への取り組みが重視されています。
(参考:Apple公式サイト https://www.apple.com/jp/environment/)
食品ロス問題

ターゲット12.3
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。
SDGsの目標12の代表的な課題として取り上げられている食品ロスですが、実はこれも、地球温暖化と繋がっています。なんと、世界全体で排出される温室効果ガスのうち、26%が食品生産によるものだそうです。私たちが生きていくにあたり「食」は必要不可欠です。深く関わっていることをふまえると、割合が高いのは必然ですが、さらに世界全体の6%の温室効果ガスは、食品廃棄により排出されているという驚きの報告があるのです。食べ物を廃棄するということは、それ自体がもったいないだけでなく、それまでの生産するエネルギーまで無駄にし、廃棄でまたさらにエネルギーを消費してしまっているのです。
2021年4月に環境省と農林水産省が公表した最新のデータでは、日本での食料廃棄量は年間600万トン(2018年度)で、前年度よりも12万トンの削減となっているそうです。しかし1人あたりにすると、私たちはまだ毎日お茶碗1杯分の食料を廃棄している状態です。これは、売れ残りや規格外品といった事業ゴミだけで発生しているわけではありません。家庭から出る廃棄も約半数と、過剰に購入したり、食べ残したりしたことで発生しているのです。そのため、企業の取り組みだけでなく、個人の意識改善も強く求められています。
企業の取り組み事例
ミツカングループ 「ZENB(ゼンブ)」
「ZENB」は、2019年に立ち上げられた食品ブランドです。人や環境への負荷が少なく、「おいしさ」と「カラダにいい」をともに叶える新しい食生活の実現を目指しています。その名の通り、普通だったら捨ててしまう野菜の皮や芯なども含めて、可能な限り食材をまるごと使い切ったペーストやソース、スティックなどを販売することで食品ロスの削減に繋げています。
この取り組みで注目すべきポイントは、食品ロス削減だけでなく、消費者にとって「おいしく、栄養があること」が大前提として開発されていることです。肝心の消費者のニーズを無視してしまっては、食べ続けてもらうことができません。持続可能な生産形態の確保や、多面的に物事を考える必要のあるSDGsの取り組みとして、学ぶべき点が多いのではないでしょうか。
(参考:ZENB公式サイト https://zenb.jp/)
人権問題

SDGs目標12といえば、資源利用・廃棄量の削減に目が行きがちですが、最後にもう一つ「責任ある調達」という面から、最近話題となった問題を考えていきたいと思います。
2021年5月、ユニクロが販売するシャツが、中国の新疆ウイグル自治区で生産された綿花で製造された可能性があるとして、1月に米国への輸入が差し止められたという報道がありました。欧米と中国の対立構造という政治的な面もありますが、グローバル化の今、サプライチェーンにおける国際的な人権問題に対し、私たちは今まで以上に考える必要性があります。過去には、カカオの生産にあたり、児童が労働者として人身売買され、その危険な労働に従事させられているという報道もありました。身近でいえば、過剰労働なども非常に問題視されるようになっています。
自然環境だけではなく、これらもまた本当に持続可能な生産形態の在り方でしょうか。商品やサービスが提供されるまでには、多くの国や企業、人が関わっています。その生産の裏側で、正当な人権を尊重した雇用が行われていないものは決して良い製品とは言えないでしょう。強制労働は、それを行わせる側の問題だけでなく、働かざるをえない環境を生み出している事にも大きな問題があります。
私たち企業は、サプライチェーン全体として、このようなできごとに向き合い、権利が侵害されないように尊重していく責任も負っています。搾取するのではなく、適正に雇用し、さらにはその地域の発展に繋がる仕組みを生み出すことができているかといった点も今後は重視されていくと考えられます。
企業の取り組み事例
SALASUSU(サラスースー)
SALASUSUは、2016年に日本人女性が立ち上げた、カンボジア発のファッションブランドです。カンボジアに工房があり、そこで経済的困難に陥っている現地の女性たちを積極採用し、職人としての自立を支援しながら、バッグや雑貨を一つずつ手作りして販売しています。
課題とビジネスを結びつけ、人やその地域の成長にも貢献する在り方は、責任ある持続可能な生産形態の一つといえるのではないでしょうか。
(参考:SALASUSU公式サイト https://salasusu.com/)
さて、ここまでSDGs目標12について具体的な企業の事例とともにみてきましたが、印刷業界ではどのような取り組みがあるのでしょうか。印刷業界とSDGs12についての記事もございますので合わせてご一読ください!









