2020年から新型コロナウイルス感染症の流行という今までにない大きな出来事が起こり、世界中が混沌の渦に飲まれました。これにより、世界の文化・社会・技術が急激に変化し続けています。とくにここ1年で、「Facebook」の社名が「Meta Plat forms(以下、Meta)」に変更になったことや、実業家である前澤友作氏が日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に滞在し、NFTを発行したことなどが世界で話題となりました。
そうしたことから、メタバースやNFTが注目されはじめ、2022年はメタバースやNFTの年とまで言われています。
今回のSpecial Topicでは、メタバースやNFTについてをご紹介しながら、今どのようなことが起きていて、今後どのように付き合っていけばいいのか。それらをどのように印刷物と融合させられるかを交えながら考えていきたいと思います。
メタバースとは?
メタバースとは、去年や今年作られた新しい言葉ではなく、以前から存在している言葉です。しかし、「こういったもの」とは決められておらず、現時点では、漠然とした概念として考えられています。
このメタバースという言葉が生まれたのは、1992年。SF作家のニール・スティーヴンスン氏が小説 『Snow Crash(スノークラッシュ)』の中でつくり出した仮想空間の名称として誕生し、認知されました。2022年現在では、一般的に仮想空間に世界をつくり、アバターやキャラクターなどを自由に操作し、コミュニケーションを取ったり仕事を行なったりするサービスや交流の場として考えられています。
メタバースと聞くと「SFの世界」という印象を受ける方も多いかもしれません。しかし、昨今流行っているVtuberやバーチャルアイドルが配信を行っている世界や、ゲームでたとえると、「Minecraft(マインクラフト)」 や「 あつまれ どうぶつの森」などがメタバースの1つと言えるでしょう。
メタバースはどのように活用されている?
「Minecraft」や「 あつまれ どうぶつの森」を例に出しましたが、ゲームにあまり馴染みのない方には少し想像し難いかもしれません。日本では、他にもメタバースを活用したさまざまなサービスがありますので、その中のいくつかをご紹介していきたいと思います。
|REV WORLDS
百貨店大手の株式会社三越伊勢丹は、スマートフォン向けの仮想都市空間プラットフォーム「REV WORLDS」をリリースしました。このアプリでは、伊勢丹新宿本店付近を再現しており、作成したアバターで「バーチャル伊勢丹新宿店」を訪れることができます。入店すると、洋服店から化粧品売り場、デパ地下までもが細かく再現されており、その場で実在するスタッフとコミュニケーションを取ったり、実際に買い物ができるのです。さらに、別のユーザーと交流する機能もあるため、友達との待ち合わせはもちろん、チャットを通じて会話をしながら、現実さながらの買い物を楽しむことも可能になっています。また、その場にいる他のお客さん(アバター)とのコミュニケーションも可能で、新感覚のSNSとして利用されており、アバターの洋服の着せ替えやバーチャルイベントの参加などさまざまなイベントが構想されています。

(出展:ISETAN MITSUKOSHI REV WORLD より)
https://www.mistore.jp/shopping/feature/shops_f3/vrinfo_sp.html
|Horizon Workrooms
Meta(旧Facebook)は、ビジネス会議用VRシステム「Horizon Workrooms」を開発しました。仮想空間のオフィスで社員それぞれが「アバター」となり、コミュニケーションを取ったり、ミーティングを行ったりできる世界をつくることができます。実際のオフィスの席と同期させる機能や、ホワイトボード機能、実際のPCモニターやキーボードの動きを仮想空間上のPC画面に反映し、操作できる機能など実際の仕事風景をそのまま再現することが可能です。このシステムにVR機器を使用することで、実際にそこに人が存在しているかのような鮮明な体験ができるようです。


(出展:Meta「 Horizon Workrooms」を発表:リモートでの共同作業を再構築より)https://about.fb.com/ja/news/2021/08/horizon-workrooms/