事業成長の可能性を広げる「プラットフォームビジネス」

 

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プラットフォームビジネス

 プラットフォームビジネスとは、商品やサービスを市場に提供するための基盤となる場や環境を作り、売り手と買い手を繋げるビジネスです。プラットフォームを提供する事業者のことを「プラットフォーマー」と呼びます。

プラットフォーム事業参入企業が増加中

 売り手と買い手を結びつける役割を担うプラットフォーム。手軽に商品やサービスを販売できたり、ターゲットに合った広告を出稿できたり、サイト運営に関わるセキュリティ管理や膨大なデータの活用が任せられるなど、売り手にとっても、買い手にとっても欠かせないものになっています。近年は企業のビジネス戦略においてプラットフォームの構築が有効だと捉えられ、様々な業界でプラットフォームビジネスが注目されています。

プラットフォームビジネスのメリット

 “プラットフォーマー”としてプラットフォームビジネスを展開する最大のメリットは、利用者が増えるほどそのサービスの価値が高まる 「ネットワーク効果」です。価値が嵩まるとさらに利用者が増え、シェアが拡大するという好循環が生まれます。また、獲得した顧客のデータを分析し、サービスの向上に活かせます。実店舗や在庫を必要としない分初期費用が抑えられ、手数料課金・月額課金などサービスに最適な収益モデルが選べる自由度の高さも特長です。

メリット

・ネットワーク効果」でシェア拡大しやすい
・少ない資本で始められる
・様々な収益モデルがある
・データの蓄積・活用ができる

プラットフォームビジネスのデメリット

 プラットフォームビジネスは、多くの利用者がいることで成立します。 利用者拡大のフェーズに入ってからは事業が急成長しやすいというメリットがある一方で、軌道に乗るまでの集客にはコストがかかります。 また同じ市場で既に大きな シェアを占めている企業がいる場合、ユーザーの奪い合いになるため、後発企業として参入してシェアを伸ばすことは難しく、競合他社との差別化を図りながら事業を展開する必要があります。 また、利用者同士でのトラプルの可能性もあり、システムの設計や利用規約の設定の段階であらかじめ対策をする必要があります。

デメリット

・軌道に乗るまでに集客コストがかかる
・後発企業の参入が難しい
・利用者同士のトラブルを防ぐ対策が必要

プラットフォームビジネスの4つの種類

 プラットフォームビジネスは、一般的に大きく4つの種類に分けられます。事業の目的や特性によって最適なモデルを選ぶ必要があります。

1.仲介型

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 商品やサービスの売り手と買い手を仲介するプラットフォーム。 例えば 「メルカリ」や「楽天ラクマ」などのフリマアプリでは、アプリを通じて商品を売りたい出品者と、欲しいものを安く手に入れたい消費者を繋ぐことができます。

2.OS型

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 Apple社の「App Store」やAmazon社の「Amazon Web Services CAWS)」など、多様なサービスを利用できるOSとして機能するプラットフォーム。企業はOSを介して様々なサービスを展開することができます。

3.ソリューション型

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 特定の機能を持つシステムやデジタルツールを提供するプラットフォーム。 例えば 「PayPay」や「楽天ペイ」などの決済アプリでは、サービスの加盟店において、ユーザーはアプリを通じて現金を使わずに決済をすることができます。

4.コンテンツ型

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「YouTube」や「 Netflix」「Spotify」など、コンテンツを発信する場を提供するプラットフォーム。サービスによって個人から企業まで、あらゆる作り手がコンテンツを発信し、全世界のユーザーが視聴・閲覧することができます。

NVIDIA社のプラットフォーム「CUDA」

 プラットフォームビジネスの成功例として、半導体メーカー・NVIDIA(エヌピディア)社の事例をご紹介します。 同社はコンピュータ上で画像描写処理を行う半導体チップ「GPU」を、多様な領域に活用するためのプラッ トフォーム「CUDA」を構築したことによって市場のシェア約98%を獲得しました。

GPUとは?

 「GPU (Graphics Processing Unit)」とは画像処理を行う半導体チップ(コンピュータ上で計算処理を行う部品)の ことで、画像を描写するための計算処理を担います。より一般的な半導体チップとしては「CPU (Central Processing Unit)」がありますが、CPUがパソコンやサーバの頭脳として機能し、複雑で幅広い処理を連続的 に行うことを得意とするのに対して、GPUは膨大な量の単純計算を、並列に高速で繰り返すことに長けています。 GPUを用いることで、30グラフィックスなどのリアルで緻密な描写が実現できます。

NVIDIA社が切り開いた GPUの歴史

 1980年代以前のコンピュータにおいて、あらゆる処理は CPUが一手に担っていました。しかし、コンピュータゲームが 普及していく過程で、30グラフィックスといった高画質で複 雑な表現が求められるようになり、CPUの性能の限界に直面 します。コンピュータで映像を描画するには、映像の要素で あるピクセル値を1つずつ計算しなければならず、当時のCPU の性能では難しかったのです。そこで開発されたのが、画像 処理に特化したハードウェア、GPU。1999年にNVIDIA社 が発表した「GeForce 256」は、世界初のGPUとされていま す。その後、GPUの二大主カメーカーであるNVIDIA社と AMO社が中心となりGPUの性能は大きく向上。さらに精度が高く多彩なグラフィックス表現が可能になりました。

GPUの可能性を広げる「GPGPU」と プラットフォーム「CUDA」

 近年はGPUの高い計算処理能力を活かし、従来はCPUが 担っていたような複雑な計算処理にもGPUを用いることで、機 械学習やスーパーコンピューティングなど、画像処理以外の幅 広い領域に展開する「GPGPU (General-purpose computing on graphics processing units)」の考えが広がっています。 GPGPUを実現するのが、NVIDIA社が開発したプラットフォー ム「CUDA (Compute Unified Device Architecture)」です。 CUDAは、NVIDIA社のGPU製品を使って並列処理を行うた めの開発環境。CUDAを使うことで、同社のGPUの性能を最 大限引き出すことができるのです。

「CUDA」を使ったGPGPUの事例

生成Al

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学習データをもとに、文章や画像などを生み出す生成A|。膨大なデータからディープラーニングを行い、成果物を生成する過程で、GPUの計算技術が活躍します。

ゲーム

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3DCGゲームの映像描画だけではなく、よりリアルな陰影の表現、物質の質感の処理といった「レンダリング」と呼ばれる計算処理にGPUが用いられています。

動画編集

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動画のテロップや映像効果の追加、音声の処理、画像の差し込みなどの編集作業や、映像を異なる拡張子の動画形式へと書き出す際にもGPUが役立ちます。

仮想通貨

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仮想通貨の取引「マイニング」には膨大な量の計算が必要です。取引を成立させるには他者よりも早く計算をしなければならず、高性能なGPUであれば取引を有利に進められます。

科学技術研究

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気象予測や新薬開発、宇宙分野での研究など、科学技術計算に用いられるスーパー コンピュ ータの精度向上に、GPUの高い計算能力が活かされています。

GPU市場はNVIDIA社一強

ここまで紹介してきたように、NVIDIA社は他社に先駆けてGPUの開発に取り組み、さらにGPUを活用するためのプラットフォーム「CUDA」を構築することで、GPUの可能性を幅広い領域に拡大してきました。その結果、NVIDIA社はデータセンター(サーバーやデータ通信機器を設置・運用する施設)向けのGPU市場で8割以上のシェアを獲得。2024年2~4月期の決算では、前年に比べ3.6倍となる260億4400万ドルの売上高を記録しました。このような急成長を遂げたきっかけとして、生成Alブームが挙げられます。生成Alでアウトプットを生み出すためには、ディープラーニングで大量の学習データを取り込み、高速で計算処理を行わなければなりません。そのプロセスでGPU が必要不可欠であり、さらにNVIDIA社のGPUの性能を活 かすには「CUDA」の利用もほぼ必須条件です。「CUDA」を 使わなければ最大限のパフォーマンスが発揮できないという 状況を作り上げたことで、NVIDIA社は市場で大きなシェア を獲得することができたのです。

プラットフォームの構築は ビジネスを成長させる強みになる

NVIDIA社がCUDAによって市場でのシェアを大きく広げ たように、プラットフォームを持つことは事業を拡大する上で 大きな強みになります。次のページでは、大洞印刷のプリン トテクノロジーとお客様のビジネスを接続し、新たな価値や 体験を生み出すプラットフォーム「MAGIC」をご紹介します。

大洞印刷のプラットフォーム「MAGIC」

 大洞印刷が目指すのは、蓄積された印刷・加工技術、ITの知見などを土台として、お客様のビジネスを加速させること。 それを実現するために、プラットフォーム 「MAGIC」を提供しています。

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MAGICとは

大洞印刷では事業の3本柱の一つとして「PX (Printing Transformation)」を掲げ、‘‘ 印刷の枠組みを超えた新たな印 刷の価値” を追求しています。そんなPXの取り組みの一つが MAGIC。お客様が提供しているオンラインサービスに大洞 印刷のプリントテクノロジーを繋げ、顧客に新しい体験を生 み出すプラットフォームです。

様々な機能と接続し、 新しい価値・体験を創造

 MAGICでは、大洞印刷が持つ高解像度画像管理システム や印刷用データの自動生成技術、受注から個別発送まで一 貫して行うフルフィルメント配送管理システムといったあらゆ るシステムを、お客様が持つ膨大なユーザー情報やオーダー情報と連携することで、高付加価値のサービスや商品を生み 出すことができます。例えば、ゲームのプレイ状況と連動して ユーザーごとに異なる‘‘宝の地図” を送付したり、ユーザーが お気に入りの写真だけをセレクトする‘‘世界に一つだけ’’の写 真集や、色や形をユーザーが自由にカスタマイズできるオリ ジナルグッズの製作サービスを実現したりと、オンラインとリ アルを繋ぐ新たな体験を創出することができるのです。

プラットフォームを活用し、 ビジネスの成長を加速

 様々な業種のビジネスと連携可能なMAGICは、社会や ユーザーのニーズの変化にも対応することができるため、潜 在ニーズの掘り起こしや新規ビジネスの立ち上げに活用して いただけます。大洞印刷は新たな体験や価値を生み出すプ リント・サービス・プラットフォームであるMAGICを提供する ことによって、お客様のビジネスの成長を加速させることを目 指しています。

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