“ネットゼロ’’を目指す世界の動向と企業が取り組むべき課題

 

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ネットゼロに向けて

ネットゼロとは??

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 “ネットゼロ’’は「カーボンニュートラル」とほぼ同義で使われる言葉で、CO2 をはじめとする温室効果ガスの排出量を、森林などからの吸収量を差し引いて‘‘正味ゼロ’’にすることを指します。  

脱炭素化に向けた世界の動向

 近年、脱炭素社会の実現に向けた動きが欧州を中心に急速に進んでいます。2019年にEU委員長に就任したフォン・デア・ライエン氏は、EUの最重要課題として、温室効果ガス削減を目的とした包括的な政策「欧州グリーン・ディール」を公表し、2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること(=ネットゼロ)を掲げました。その達成に向けて1990年から2030年までの温室効果ガスの削減目標を40%から55%に引き上げ、さらに新たに定めた「欧州気候法」で2050年のカーボンニュートラルを義務化。前委員長時代よりも高水準な目標を定めた野心的な内容が注目を集めました。またアメリカでは2022年にインフレ削減法(IRA) 」が成立し、電気自動車(EV) を含むネットゼロ技術の開発や普及など、気候変動対策とエネルギー安全保障の分野への巨額の投資計画が進められています。

注目されるネットゼロ産業

 EUは、欧州グリーン・ディールを単なる環境保全のための政策ではなく‘‘EUの成長戦略”と位置付け、環境保全や再生可能エネルギーの分野に大規模な投資を行い、経済の活性化を目指すことを掲げました。欧州グリーン・ディールの具体的な政策として打ち出した「グリーンディール投資計画」では、10年間で1兆ユーロ(約122兆円)の投資を発表。また「グリーンディール産業計画」では、ネットゼロの達成に貢献する技術に関して、製造拠点の設置などに関する許認可プロセスを簡略化する規制緩和策「ネットゼロ産業法案」を提案しました。アメリカや中国もネットゼロ産業を推進する中で、このように技術の普及・向上に関する支援を強化することでEUをネットゼロ産業の一大拠点として成長させ、優位性を保とうとしているのです。

“ネットゼロ”をめぐる 日本の動向

 そんな世界の動きに対して、日本でもネットゼロ達成に向けた政策が実施されています。日本では2020年に当時の菅 義偉総理大臣が、2050年までに国内の温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを発表。翌年には、2050年までに2013年度比でマイナス46%にすることを表明しました。2022年5月には地球温暖化対策推進法が改正され、脱炭素化に貢献する事業の支援を行う「脱炭素化支援機構」が設立されるなど、世界の水準に合わせてネットゼロに向けた動きが活発化しています。

ネットゼロの実現に向けて、企業ができること

再生可能エネルギーの活用を中心とするCO2 排出抑制

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電力を再生可能エネルギー由来のものへ切り替えたり、太陽光パネルを導入して電力を自社でまかなうことで温室効果ガスの排出を大きく削減できます。また設備の省エネ化、機械の運用方法の改善で電力消費の無駄を減らすことも大切です。

低炭素製品の提供・開発

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製造・流通・消費・廃棄それぞれの段階でのCO2の排出を抑える‘‘低炭素製品”の提供や開発もネットゼロに貢献します。例えば、環境負荷の少ない素材を使用したり、商品の軽量化によって輸送車の燃費向上に繋げたりと、さまざまな角度からアプローチが可能です。

無駄な大量生産・大量消費からの脱却

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「大量生産・大量消費」を前提とする経済社会では、無駄な運送や廃棄が生まれ、多くの温室効果ガスが排出されます。本当に必要なものを、必要な時に、必要な分だけ作り、長く使ってもらうための商品やサービスを提供することが、長期的な温室効果ガス排出抑制に繋がります。

ネットゼロの鍵を握る 再生可能エネルギー

 ネットゼロの達成に向けて、国や企業が行うべきことは多岐にわたりますが、温室効果ガスの削減に特に大きな影響をもたらすのは再生可能エネルギーの普及です。

 

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 全世界の再生可能エネルギーの発電設備容量は2015年から2021年(推計)の間で1.6倍以上に増えており、引き続き増加が見込まれます。ネットゼロの実現に向けて、再生可能エネルギーをいかに普及させ、活用していくかが今後の課題と言えます。大洞印刷でも、再生可能エネルギーの活用をはじめ、省エネ化の推進や低炭素製品の提供など、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを実践しています。

 

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