多種多様な消費者ニーズに寄り添う”多品種”展開

多品種展開

広がる多品種化

 消費者に寄り添ったサービス・モノの提供など、多くの企業が顧客との関係性を重視したビジネスを展開し始めています。その中で注目したいワードの一つが"多品種"の商品展開です。  例えば、お菓子売り場に行けば、チョコレートーつとっても、ミルクチョコ・ホワイトチョコといった大きな味の違いだけでなく、カカオの成分量・産地と細分化が進み、さらには、中身は同じまま、パッケージのデザインを変えた商品も多く見かけるようになりました。

明治チョコレート出典:(株)明治公式サイトより出典:Apple公式サイトより https:/ /www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/mchoco/valentine-campaign/

 また、スマートフォンが出始めた頃は、Appleからは非常にシンプルな商品だけが提供されていました。その当時は、ブランド価値のある唯一無二の商品であるiPhoneやMacという商品で売り上げを作ることができていました。しかし、スマートフオンが普及するにつれ、それだけでは他社との差別化ができなくなり、スペックやサイズはもちろん、カラーバリエーションやアクセサリなどを用いて、商品群を多くする展開が行われています。

スマートフォンケース出典:Apple公式サイトより https://www.apple.com/jp/iphone-12/

 いずれも、消費者が豊富な商品群の中から、自分の趣味嗜好、用途に合わせて選べることが重要な市場が広がってきているからこそ、メーカーは、それに対応した商品企画に打って出ています。モノの性能が良ければ売れた、ブランドさえ確立していれば売れた時代は終わりました。インターネットやSNSの普及で、消費者が手にする情報が増え、デジタル化により市場の動きがスピーディーになったことで、消費者のニーズは多様化しています。  そんな中で「選ぶ」こと自体が、消費者にとっての一つの体験価値となっています。例えば、「Nike By You」という、Nikeのシューズを自身の好みに合わせ、カスタマイズできるサービスも始まっています。多品種の極め付き、パーソナライズ展開です。「選ぶ」という行為自体が体験であり、選んだからこそ、買ったことへの納得感が得られ、比較する商品があるからこそ、高い満足感を得ることができます。

Nike出典:Nike By You公式サイトより https://www.nike.com/jp/nike-by-you

 多様化する消費者のニーズに応えるため、テクノロジーは日々進歩しています。それとともに、今後は消費者一人ひとりのデータに基づいた、より細分化された多品種の市場が広がっていくと考えられます。ではそれを、印刷サービスによって実現していくにはどうしたら良いのでしょうか?

印刷における多品種化の壁

 印刷サービスで多品種化を実現するには、大きく3つの壁が あると考えられます。1つ目は、生産コストの壁です。従来の印刷手法、オフセット印刷で多品種展開を実現しようとした場合、種類の数だけ印刷用の版が必要となり、イニシャルコストがかかってしまいます。  2つ目は、時間と労力の壁です。デザインデータ作成に、版出力、印刷工程における版のセット替えなど、数十種ならいざしらず、何千・何万種となった場合には、想像しただけでゾッとするような、途方もない時間と労力が必要になります。  3つ目の壁は、在庫リスクの壁です。団体競技のスポーツ選手やアイドル、キャラクターなどには、ニッチなファン層が存在しています。しかし、全てのファンに対し商品を展開したくとも、需要が少ないものを、少部数で製造すれば価格が合わず、かといって量を増やせば、在庫リスクや廃棄ロスが生じてしまいます。

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